自然の力、漢方薬---体質・症状で異なる処方
平成21年10月22日掲載
漢方医学は、病気そのものというより病人まるごとを対象にして治療します。西洋医学では同じ病名がつくと、基本的には同じ効能の薬が処方されますが、漢方薬では同じ疾患でも患者の体質や症状の現われ方により処方が異なってきます。
西洋薬の錠剤一錠、粉薬一包には主に単一の薬効成分が含まれ、切れ味鋭くその病気の原因を取り除きます。それに比べ、漢方薬、最近はエキス剤が多く使われていますが、その一包は、複数の生薬(植物の草根木皮、ときには動物や鉱物も含む)を煎じたエキスを乾燥させたものであり、個々の生薬には何種類もの薬効成分が存在しています。これらの成分が微妙に働き合い、病人の心身のバランスを整え不調をゆっくりと取り除きます。
一種類の薬効成分だけでは副作用が出たり効果が弱い場合でも、何種類もの成分の存在により有益な作用を互いに強め合い、不利な作用を打ち消し補い合って人体に作用します。先人の努力と長年の経験からなる調合の妙により薬物間の相互作用をたくみに利用していると考えられます。
もちろん、漢方薬にも即効性があるものもあり、副作用も知られています。また、西洋薬と漢方薬の併用による重大な副作用も報告されていますが、最近の臨床の現場では両者の特徴を活かして上手に併用し、使い分けることにより治療効果が上がっている場合が多くなっています。
漢方薬は効果を十分に発揮させるため一般に食前、食間の空腹時に、また、エキス剤でもお湯に溶かして本来の煎じ薬の形に戻してのむのがよいとされています。

静岡県薬剤師会
会員 中野 みどり