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静岡新聞「薬の相談室」

日本脳炎に新ワクチン、予防接種受けたい—患者発生の多い地域優先 当面は蚊よけ剤利用し注意

質問

5才の娘と9才の息子の母です。新ワクチンで日本脳炎の予防接種が再開されたと聞いたので、一度も受けたことがない娘と、息子へは追加接種を行いたいと思っていますが可能でしょうか?

回答

日本脳炎は、蚊(コガタアカイエカ)が媒体する日本脳炎ウイルスによって起こる感染症で、ほとんどの人は感染しても気がつかない程度ですんでしまいます。しかし、いったん脳炎症状を起こすと、致死率は20~40%前後と高く、回復しても半数程度の方は重度の後遺症が残ります。

治療法がないためワクチン接種での予防が重要で、従来から日本脳炎ワクチンが使用されていましたが、接種後に重症の急性散在性脳脊髄炎(ADEM)が報告されたため、2005年5月から、このワクチンによる定期予防接種が積極的に行われていませんでした。

今年6月、副作用のリスクが低いと期待されている新しいワクチンが開発され、定期予防接種の対象になりました。しかし、当面は供給量が少ないため、幼児期の2回(主として3~7歳)のうち、日本脳炎患者発生が多く認められている地域が優先されます。

追加接種については安全性、有効性が確立されておらず、また、2期の接種は、平成21年度では定期予防接種として使えません。

一般的な注意として、コガタアカイエカ活動が活発になる日没後に外出する場合は、露出している皮膚への蚊除け剤の使用など、ウイルスを持った蚊に刺されないよう十分に注意してください。

(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長
大石順子

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