おくすり相談 Medicine

静岡新聞「薬の相談室」

パーキンソン病治療薬でせん妄症状—定期的に受診、副作用への対処確認

質問

82歳の母ですが、パーキンソン病と診断され、レボドパ・カルビドパ水和物(商品名:ネオドパストン)、プラミペキソール塩酸塩水和物(ビ・シフロール)を服用中です。最近になって「せん妄」の症状が出始め、医師に相談すると、薬を中止すると体の動きが悪くなるから飲み続けるように言われました。私は副作用だと思うのですが、主治医にうまく聞けません。

回答

パーキンソン病は、(1)安静時のふるえ、(2)筋強剛(筋固縮)、(3)動作緩慢、(4)姿勢反射障害の四大症状を主とする病気です。

原因は、脳の中の神経細胞の数が減り、ドパミンという神経伝達物質が減少することにより、様々な症状が起きると考えられています。

治療の基本は薬物療法ですが、どの薬も根本的に治療する「原因治療薬」ではなく、不足しているドパミンを補うことで症状を緩和する「補充療法薬」です。したがって服薬しているときは症状が良くなりますが、服薬を止めれば症状は元に戻ります。

レボドパ・カルビドパ水和物は強力なパーキンソン病治療薬ですが、長期間の服用で薬効の変動が起こり、効果が切れて急に動けなくなったり、過剰に服薬すると、身体が勝手に動く不随意運動が出現します。

ラミペキソール塩酸塩水和物は薬効の変動が生じにくいのですが、吐き気や幻覚・妄想などの副作用が出やすく、突発的睡眠が起こることがあります。

副作用を心配されていますが、定期的に受診されているかぎり、生命をおびやかすような副作用の心配はありません。こまごまとした副作用はありますが、その都度主治医にご相談になると、色々な対処方法があります。

(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長
大石順子

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