おくすり相談 Medicine

静岡新聞「薬の相談室」

過活動膀胱で酒石酸トルテロジン服用—効果高く副作用少ない 自己判断での中止避ける

質問

67歳の女性。過活動膀胱(OAB)の薬について教えてください。頻尿と切迫尿意で2年前、泌尿器科を受診し、酒石酸トルテロジン(商品名:デトルシトール)を服用しています。2、3ヵ月服用後は症状が軽くなるため中止すると、1、2ヵ月後にまた症状が起こり、この繰り返しです。症状が治まっても服用を続けたほうがよいでしょうか。長期の服用で副作用はないですか。

回答

過活動膀胱(OAB)は、自分の意思と関係なく膀胱が勝手に収縮し、急に尿意をもよおし我慢できない「尿意切迫感」があり、日中8回以上トイレに行く「頻尿」、夜中に何度もトイレに起きる「夜間頻尿」や、我慢できずに漏れてしまうことがある「切迫性尿失禁(尿漏れ)」を引き起こす病気です。

過活動膀胱の治療は、症状を軽減させるために薬物療法が行われ、酒石酸トルテロジンなどの抗コリン薬が使われます。抗コリン薬は、膀胱を収縮させる伝達物質のアセチルコリンのはたらきを弱めることで、膀胱の異常な収縮を抑えます。そして、飲み始めてから1週間~1ヵ月で効果が現れます。

抗コリン薬の副作用には、口の中の渇き、便秘、眼の調節障害などがありますが、酒石酸トルテロジンは1日1回の服用で効果が高く、副作用も少なくなっています。

過活動膀胱を改善するために処方された薬を自分の判断でやめてはいけません。服用を中止する場合や、万一、副作用が出た場合は必ず医師に相談してください。

(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長
大石順子

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