おくすり相談 Medicine

静岡新聞「薬の相談室」

骨粗しょう症治療薬の副作用—吐き気や下痢、服用法守り防ぐ 歯の治療は医師尋ねてから

質問

76歳の女性。骨粗しょう症で1年前に圧迫骨折をしました。アレンドロン酸ナトリウム水和物(商品名:ボナロン、フォサマック)を週1回、1年余り飲んでいますが、長期に服用して副作用がないか心配です。

回答

アレンドロン酸ナトリウム水和物はビスホスホネート系の薬と言われ、骨にとりこまれて骨のカルシウムが血液に溶け出すのを強力に抑え、その結果、骨量を維持しています。

骨粗しょう症は、現在の骨量を維持するのが治療です。治療を中止すればその時点からまた骨量は低下していきますので、治療を続ける必要があります。

副作用で比較的多いのは、吐き気や下痢、食欲不振、便秘などです。まれに、食道炎や胃潰瘍を起こすこともありますが、このような消化器症状を防ぐためには、決められた飲み方を守ることが大事です。起床してすぐにコップ1杯の十分な水とともに服用し、寝たまま飲んだり、飲食物と同時に飲んではいけません。

また、特異なケースと考えられますが、顎の骨が腐る副作用(顎骨壊死:がっこつえし)が報告されています。とくに長期服用時の抜歯後に起こりやすく、抜歯により傷ついた顎骨がうまく修復できず壊死することがあります。歯の治療を受ける時は、担当の医師とよく相談し、歯科医にはビスホスホネート薬を飲んでいることを伝えてください。

骨を強くするには、薬物療法を続けるとともに、食事などからカルシウムを摂ったり、日光浴、そして、運動療法をすることも大切です。

(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長
大石順子

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