おくすり相談 Medicine

静岡新聞「薬の相談室」

ピロリ菌の検査法と治療法—内視鏡、呼気テストで診断 抗生物質とPPIを服用

質問

71歳の主婦。先日、新聞の記事に胃の病気の8~9割は原因がピロリ菌と出ていました。私は今年の1月ごろからなんとなく胃の具合が悪く、市販の胃腸薬などをのんでいます。ピロリ菌の検査方法や、菌がある場合の治療法(除菌の方法)を教えてください。

回答

ピロリ菌は正式名をヘリコバクター・ピロリ菌と言い、通常、乳幼児期に経口感染し、除菌治療を行わない限り生涯にわたって感染が持続します。

日本では、戦前戦後に乳幼児期を送った年代の感染率が高く、50歳以上では7~8割の人が感染しています。長期の感染により感染者の2~3%の人が胃潰瘍を発症しますが、胃潰瘍の患者さんの70~80%、十二指腸潰瘍患者さんの90~100%でピロリ菌の感染がみられます。

ピロリ菌を見つける検査には内視鏡を使う方法と、診断薬を服用して呼気を集めて診断する「尿素呼気テスト」、血液や尿の抗体を調べる「抗体検査」、「便中抗原検査」などの内視鏡を使わない方法があります。

ピロリ菌の除菌には、胃酸の分泌を抑制するプロトンポンプ阻害薬(PPI)と2種類の抗生物質を1週間服用します。約8~9割の方は除菌に成功すると報告されていますが、除菌が失敗した時は再除菌をします。

胃や十二指腸潰瘍に異常があり、胃潰瘍をくりかえす人など、消化性潰瘍と診断された患者さんは、健康保険で検査を受けることが出来ます。人間ドックや検診などで希望すれば自費で検査を受けることも出来ます。

(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長
大石順子

薬の相談室へ戻る