おくすり相談 Medicine

静岡新聞「薬の相談室」

MAC症、せきやたん続く—確実に治癒に導く方法ない 規則正しい生活を心掛ける

質問

62才女性。咳や痰が続くので病院に行ったところ、結核ではなく、非結核性抗酸菌症のMAC(マック)症といわれました。どのような薬が使われるのですか?

回答

結核菌によって起こる結核と比べると、非結核性のMAC(アヴィウム・イントラセルラーレ複合菌)によって起こるMAC症は、病原性が弱く、体の抵抗力がとても弱い人だけがかかると言われてきました。しかし、最近では健康な中高年の女性に多発しています。

発病しても、ほとんど自覚症状がないことが多く、次第に咳、痰、血痰、微熱などが出てきます。他に体重減少、倦怠感、寝汗、肩凝り、息切れ、胸が痛いなどの症状があります。また、人間ドックのCT検査などで自覚症状がなく発見される場合もありますが、結核菌と異なり人から人へ感染しないので隔離することはありません。

MAC症の治療は、結核に準じた治療が行われ、抗結核薬のリファブチンとマクロライド系抗生物質のクラリスロマイシンも治療薬として承認されていますが、その効果は結核に比べ低く、確実に治癒に導く治療法はありません。現在のところできるだけ症状を少なくし、病気が進行せず、通常の生活を送れるようにすることを目標にします。

病気を治すのは薬だけの効果ではありません。体の抵抗力を維持することが大切です。そのためには不規則な生活を避け、充分な休養をとり、バランスの取れた食生活を行い、糖尿病などの合併症も治療も必要です。

(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長
大石順子

薬の相談室へ戻る