おくすり相談 Medicine

静岡新聞「薬の相談室」

抗ヒスタミン薬服用で眠気—中枢神経抑制作用ない薬を

質問

34才の女性。アトピー性皮膚炎のため抗ヒスタミン薬を飲んでいますが、眠くてしかたありません。眠くなるのは効いている証拠、と考えて我慢するしかないのでしょうか。

回答

アトピー性皮膚炎など、かゆみを伴う皮膚疾患のかゆみ止めの目的で抗ヒスタミン薬が用いられています。旧世代(第一世代)の抗ヒスタミン薬とは、ジフェンヒドラミンやクロルフェニラミンなど、副作用として眠気が問題となる薬剤です。

これに対し、現在、抗ヒスタミン薬市場の大部分を占める第二世代の薬である塩酸フェキソフェナジン(商品名:アレグラ)、塩酸エピナスチン(アレジオン)、塩酸オロパタジン(アレロック)、塩酸セチリジン(ジルテック)、ロラタジン(クラリチン)、エバスチン(エバスチル)などは、薬の脳内移行を抑え、中枢神経抑制作用を軽減させてあります。これらの薬は、眠気などの中枢抑制作用には大きな差がありますが、かゆみ止めの効果には差がありません。つまり、第二世代の抗ヒスタミン薬では、眠気とかゆみ止め効果は相関しないと結論づけられ、「眠気の強い抗ヒスタミン薬はかゆみを止める効果も強い」との考えはあてはまらなくなりました。

眠くなって困る薬は、運転するとき、仕事や学校に行く前などは避けたくなります。そのような時は、かかりつけ医やかかりつけ薬剤師に相談し、眠気などの中枢神経抑制作用のない「眠くならずに、よく効く抗ヒスタミン薬」を選択してもらってください。

(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長
大石順子

薬の相談室へ戻る