おくすり相談 Medicine

静岡新聞「薬の相談室」

緑内障治療の目薬「チモプトール」—ぜんそく患者、既往症も禁忌 あおむけで点眼、全身作用防ぐ

質問

緑内障で、チモロールマレイン酸塩(商品名:チモプトール)という目薬を薬局でもらった時に、喘息の持病がないか、今まで喘息になったことはないかなどと聞かれ、点眼する時は、わざわざ仰向けに寝てするように言われました。他の目薬ではこのようなことはなかったのですが、なぜですか?

回答

チモロールマレイン酸塩はベータブロッカーの1つで、点眼薬でも内服薬と同様の副作用があらわれることがあり、死亡例や喘息大発作例も報告されています。そのため、気管支喘息の患者だけでなく、その既往者までが禁忌となっていますし、心不全のある人への投与も注意が必要です。

点眼薬の成分が全身に作用することは想像しにくいのですが、薬剤師は薬の専門家としてそのようなところまで注意しています。持病や既往歴を聞かれた場合は、きちんと答えるようにしてください。

また、原則として、仰向けに寝て点眼し、目を閉じて1~5分間は目頭を押さえ、その後に目をあけるようにと指示されます。一般的な感覚で言えば、目薬をさすのに、かなり仰々しいですが、これも言うまでもなく、目頭から点眼液が涙のう部に流入して全身の血液に移行するのを防ぐことが目的です。

目薬によっては注意が必要なものがあります。薬を安全かつ有効に使うためには、わからないことがあれば薬剤師に尋ね、使い方の重要性をきちんと理解し、副作用を押さえながら上手に薬を使ってください。

(社)静岡県薬剤師会・医薬品情報管理センター所長
大石順子

薬の相談室へ戻る