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サプリメントQ&A

平成20年4月から平成21年3月の1年間、へるすあっぷ21(法研)の「へるすあっぷなんでも相談室」に、サプリメントについて一般の方向けに書いた記事を掲載しています。

サプリメントを選ぶ基準は?

サプリメントは同じ効用を謳っていてもメーカーによって金額はさまざまですが、どんな基準で選べばよいのでしょうか?見極めのポイントを教えてください。

サプリメントや健康食品の世界は、まさに玉石混交です。テレビや新聞でサプリメントや健康食品に関する情報があふれていますが、それらには、間違っているものや大げさなものも少なくありません。
サプリメントや健康食品のうち、国が「健康の保持増進効果」を認めているものに「栄養機能食品」「特定保健用食品」があります。
また、「品質」や「安全性」に問題のある製品もたくさん流通しているのが現状ですが、一方で、安全性確保に自主的に取り組んでいる事業者も増えています。たとえば、医薬品に課せられている「適正製造規範」であるGMP適合認定の表示や、㈶日本健康・栄養食品協会による規格基準認定制度のJHFAマークが付いた製品のほか、各業界団体による独自の認定制度を表示している事業者もいます。もちろん、これらの製品がすべて安全である確証はありませんが、商品を選択するうえで一定の基準になるといえます。
実際に数多いサプリメントから適切なものを選ぶときに迷うのであれば、薬剤師や管理栄養士、そして、厚生労働省が養成を推進している「健康食品」のアドバイザリースタッフである、NR(栄養情報担当者)、食品保健指導士、サプリメントアドバイザーなどの信頼できる身近な専門家に相談し、正確な情報を得るとよいでしょう。医師の治療を受けている人は、医薬品との相互作用を避けるため、必ず医師または薬剤師に相談してください。
健康な生活を送るうえで最も重要なことは、食事、運動、休養のバランスを保ち、生活リズムを整えることです。サプリメントはあくまでもこれらの基本を補うものでしかありません。また、その利用目的、方法、摂取量に十分配慮しなければ効果を期待することはできませんし、高価だから効果があるとは限りません。
サプリメントは医薬品ではなく食品です。誇大広告に惑わされず、病気のときは病院での治療を優先し、必要と思われるのであれば食品の選択肢のひとつとして上手に利用してください。

不足する栄養素を補う目安は?

厚生労働省が発表した国民健康・栄養調査では、カルシウムの摂取量は不足していると言われています。実際にサプリメントとしてどのくらい摂取すればいいのですか?

「平成18年国民健康・栄養調査」によると、成人は、平均534㎎のカルシウムを通常の食品から摂取しているものの目安量には及ばず、摂取量が不足していることが明らかになっています。
一方、平成17年の同調査では、サプリメントなどを「摂取している者」は「摂取していない者」と比べて通常の食品からとっている栄養素はほぼ同量ですが、サプリメントなどで補充している分、ビタミンやミネラルを15倍も多くとっている例があることも示されています。摂取するビタミンやミネラルが水溶性であればあまり気にしなくてもよいのですが、脂溶性の場合は過剰症が心配されます。カルシウムは過剰摂取によって尿路結石、ミルクアルカリ症候群、他の無機質の吸収抑制などをおこす可能性があります。上限量は1日2300㎎で、日本人のカルシウム摂取量は前述のように534㎎ですから、目標量を満たすためには1日に300㎎程度をサプリメントで摂取しておけば毎日とり続けても心配ないと思われます。
ところが、その前に問題となるのは1日の野菜摂取量です。同調査で成人の野菜摂取量を見ると、平均は約290ℊで、推奨量の350ℊより60ℊ(例:トマト1/3個分、またはナス1本分程)度少なくなっています。朝食を食べないなどの不規則な生活やファストフード、外食の増加などが影響しているようです。野菜不足はビタミンやミネラルなどの不足を意味し、この不足分をサプリメントで補っても、「ファイトケミカル」と呼ばれる非栄養素成分は補えません。これらの働きはまだ十分解明されていませんが、その代表格であるポリフェノール類は、心臓病や動脈硬化の予防に役立つと考えられています。
栄養素は互いに作用し合うことで本来の働きをします。そのため、特定の栄養素を大量にとるのではなく、バランスよく摂取することが大切です。まずは彩り豊かな食事を心がけ、それでも不十分と考えられる場合にサプリメントを適量補うことを考えましょう。

スポーツ選手が使っているサプリメントは効果がある?

マラソンのトップアスリートが使っているサプリメントをインターネットで見つけました。市民ランナーとして走っているので、購入しようと思っていますが効果はあるのでしょうか?

スポーツは健康にいいというイメージから、トップアスリートの食事やサプリメントが一般に広まる傾向にあります。しかし、健康のために行うスポーツとトップアスリートが行うスポーツでは、サプリメントの摂取も含めて栄養の管理方法は異なる場合が多くみられます。たとえば、トップランナーにおけるマラソンは、約42㎞を走るのに2時間余りを費やすなかで、10秒程度の違いが勝敗を分けるスポーツです。健康のために肥満や筋肉の低下を防ぐなどという次元ではありません。すなわち力士は強いからという理由で健康のために彼らの食生活をまねたりする人はいないのと同様に、一般の人がまねる意義のないことが多いと認識する必要があります。しかし、アスリートの栄養の管理方法から学ぶべきことがあるのも事実です。
たとえば、スポーツが原因でおこる貧血を「スポーツ貧血」と呼んでいますが、多くのアスリートがその予防対策を行っています。スポーツをすることによって大量の汗と一緒に鉄分が排泄されることに加え、赤血球が足の裏で衝撃により破壊され、さらに、筋肉の損傷を修復しようとする働きも原因となって貧血がおこるためです。とくに女性の場合は月経と重なると貧血をおこしやすい状態になります。
貧血になると、血液中のヘモグロビンが低下し、肺で酸素を受け取って臓器や筋肉に供給する運搬者の役割が十分にできず、日常生活や競技能力に悪影響を及ぼすことになります。スポーツ選手のほかにも、小学校高学年から18歳くらいまでの思春期に激しいスポーツをしている子どもにも貧血はおきやすいものです。これは身体が急激に成長する時期にあるので、血液をつくるための栄養分の需要に供給が追いつかないからです。スポーツ貧血を予防するためには鉄分だけでなく、タンパク質、ビタミンCも一般的に推奨されている量の2倍程度摂取するように心がけてください。
このようにアスリートの栄養の管理方法をきちんと理解し、食事やサプリメントを賢くとるようにしましょう。

同時にいろいろなサプリメントをとっても大丈夫?

『美肌によいもの』『ダイエットによいもの』・・・・・・と足し算してサプリメントをとっていますが、組み合わせの相性がよいもの、反対に悪いもはあるのでしょうか?

ビタミンB群の場合、単独よりも組み合わせたほうがよいものがあります。たとえば、葉酸、ビタミンB6、B12は、いずれも脳梗塞や心筋梗塞の発症、先天異常児出産に関与するホモシステインの代謝にかかわっています。そこで、血液中のホモシステイン濃度が高い患者に葉酸、ビタミンB6、B12を単独または併用して投与したところ、単独で投与した場合より、併用したほうが、ホモシステイン濃度がより低下したという報告がありました。また、ビタミンB群のビタミンB1、B2、ナイアシン、パントテン酸、ビオチンは、糖質の代謝の各ステップにかかわり、どれかひとつでも足りないと糖質の代謝がうまくできなくなります。
ビタミンは鉄やカルシウムなどのミネラルの吸収を助ける働きもあります。
貧血の場合、鉄とビタミンCを同時にとると、鉄が還元され吸収がよくなりますし、ビタミンDはカルシウムが腸から吸収される際には欠かせない物質で、骨を丈夫にする働きがあります。
ミネラルの場合も、ビタミンと同様にバランスが大事です。たとえば、亜鉛の過剰摂取により銅が欠乏し貧血をおこす場合や、カルシウムだけを多くとってもマグネシウムが少ないために吸収されない場合などがあることから、バランスをとって摂取する必要があるのです。
一方で、組み合わせが悪く、避けなければならないサプリメントもあります。
ダイエットのために食物繊維をとる場合は、同時にミネラルなどをとると、食物繊維がミネラルを吸収し効果が弱まるため、摂取のタイミングをずらすなどの工夫をしてください。また効きめだけにとらわれて何種類ものサプリメントをとると、同じ成分や同じ作用をもつ成分を過剰に摂取することになり危険です。
個人のライフスタイルや食生活などで不足しやすい栄養素を補うことは大切なことですが、複数のサプリメントをとる場合には、薬剤師やサプリメントのアドバイザリースタッフに相談し、安全に効率よくとりましょう。

サプリメントだから副作用はない?

サプリメントは食品なので薬と違って副作用がないと言われていますが本当ですか?普段から多めにとっていますが、とり過ぎの心配もないのでしょうか?

サプリメントは、薬ではなく食品に分類されるので副作用がないと思われがちですが、コエンザイムQ10やα-リポ酸などはもともと医薬品の成分です。医薬品でも、サプリメントでも、好ましくない作用(有害作用)があらわれることがあります。実際に、サプリメント利用者から「下痢をした」「湿疹が出た」「肝機能が低下した」など、さまざまな体の不調が報告されています。サプリメントをとり始めて体調不良を感じたら、すぐに利用を中止して医療機関を受診し、必要ならば保健所にも相談してください。「効果が出ている証拠だから」などと我慢して飲み続けるようなことは、決してしないでください。
また、パッケージなどに記載されている原材料名や添加物、注意表記を必ず確認しましょう。サプリメントは食品の形をしていないものがほとんどなので、食物アレルギーの心配がある人や過敏症の人は、とくに注意が必要です。
サプリメントを利用する場合に、体や美容によい成分はたくさんとればとるほど効果があると考え、積極的にとる人がいますが、ビタミンなどの栄養成分のサプリメントでも、大量に体内にとり込むと、体の恒常性維持機能に支障をきたすなど、健康に悪影響が出る可能性があります。錠剤やカプセルの形をしたサプリメントは特定の成分を手軽に摂取できる利点がありますが、一方で、知らぬ間に過剰摂取につながる危険性もあります。商品に表示されている摂取目安量の範囲を守り、複数のサプリメントを利用する場合には、重複して摂取しないように、それぞれの製品の含有成分を確認しましょう。
適切にサプリメントを利用するためには、サプリメントの危険性を認識するとともに、体に不調を感じたときには、何を、いつから、どのくらい利用しているかなどを相談の際に伝えることがとても重要になります。そのために、日頃から「製品名」「主な成分」「利用開始時期」「利用量」などの利用状況について記録しておきましょう。

薬とサプリメントを併用しても大丈夫?

骨粗しょう症の薬が処方されているので、骨を丈夫にするためにカルシウムを一緒に摂りたいと思っています。 サプリメントは食品だから薬と一緒に飲んでもよいですか?

サプリメントは食品ですから薬と一緒にとっても問題はないように思われますが、ふだん当たり前に口にしている食べ物にも、薬の効果に影響を与えるものがあります。たとえば納豆やブロッコリーは血液凝固防止(薬ワルファリンなど)の作用を弱め、グレープフルーツは高血圧の治療薬であるカルシウム拮抗薬などの作用を強めることがわかっています。同じように、サプリメントにも気をつけたほうがよいものがあります。
とくに気をつけたいサプリメントのひとつに、セントジョーンズワートがあります。抗HIV薬、強心薬、免疫抑制薬などの分解を速めて薬効を減少させてしまう可能性があることが報告されたため、旧厚生省から、医薬品を服用する場合はセントジョーンズワートの摂取を控えるなど注意するように通達が出されています。このほか、牛乳・乳製品や、カルシウム・鉄のサプリメントなども、薬に影響する場合があるので注意が必要です。
骨粗鬆症の薬の場合、病気は同じでも使う薬には何種類かあり、作用がそれぞれ異なります。
たとえば、活性型ビタミンD3といわれるビタミン製剤は、腸管からのカルシウムの吸収を促進させ、血液中にカルシウムをどんどん送り込むため、積極的にカルシウムをとると高カルシウム血症をおこす可能性があります。高カルシウム血症の初期症状としては、便秘、吐き気、嘔吐などが見られます。
逆に、ビスフォスフォネート製剤は骨から血液中にカルシウムが溶け出すのを防ぐ薬なので、十分なカルシウムをとって血液中の血清カルシウム値の低下(低カルシウム血症)を防がなければいけません。ただし、この薬はカルシウムと同時に服用すると吸収が低下するため、牛乳やジュースではなく水で服用し、服用後30分は食事も控える必要があります。
このように、薬によってサプリメントのとり方が異なるため、薬を服用中の人がサプリメントをとる場合は、あらかじめ医師または薬剤師に相談しましょう。

子どもがサプリメントをとってもよいの?

親がとっているサプリメントを子どもにものませてもいいのでしょうか?また、妊娠や授乳中にサプリメントをとると、間接的に赤ちゃんがとることになり心配ですが大丈夫でしょうか?

農林水産省では、食に関する知識を習得し、食を選ぶ力を身に付けるための「食育」を推進しています。「食育」とは、食べることをはじめ、食に対する心構えや栄養学、伝統的な食文化など、「食」に関する多岐にわたる分野の「教育」をさしていますが、とくに小児期は生涯の食生活の基本を築くときですから、いろいろな食品に触れ、家族団らんのなかで食事の楽しみを知ることが最も大切です。つまり、サプリメントに頼るのではなく、3度の食事が基本であることが大前提です。
しかし、明らかな小児肥満のためにダイエットが必要だったり、あまりにも好き嫌いが多い場合には、毎日の食事で不足しがちな栄養素の補助としてサプリメントをうまく組み合わせて摂取させるのもひとつの方法です。サプリメントは基本的には食品なので、葉酸などのビタミンB群、骨を丈夫にするビタミンDやカルシウムはとくに問題はありませんが、亜鉛、銅、マグネシウムなどのミネラルや機能性成分、ハーブなどはサプリメントで補う必要がなく、とりすぎなどによる害も考えられるので避けたほうがよいでしょう。
利用する際には、錠剤やカプセルではなく、なるべく食品の形をした加工食品や飲料を選ぶことが「食育」の観点からも重要です。多くのサプリメントは成人向けであるため、小児の体重に合わせて成人の1/3〜1/2程度の量を目安とし、できれば、日本人の食事摂取基準の小児の推奨量、または目安量と上限量の範囲を参考にしましょう。
妊婦の場合、胎児の形成に重要な役割を果たすビタミンD、葉酸などのビタミンや鉄などの必要量が増えますが、そのなかでも葉酸はサプリメントでとることがすすめられます。
反対に、女性ホルモン作用があるため摂取が禁止される大豆イソフラボンや、過剰症で胎児が先天性異常をおこすビタミンAなどを安易にサプリメントでとることはたいへん危険です。多くのサプリメントで妊婦、授乳婦に関しての安全性は確立されていないため、使用に関しては必ず医師、薬剤師に相談してください。

国が認めたサプリメントとは?

さまざまな種類のサプリメントが市販されていますが、それらには、国が機能や安全性を認めている製品はあるのでしょうか? また、それはどのようなものですか?

  • 一般的に、カプセル、錠剤などの医薬品的な形状をした機能性食品(ビタミン、ミネラル、ハーブ類)を「サプリメント」と呼んでいます。そのようななかで、国の定めに従って、機能性や安全性情報が書かれている製品には「栄養機能食品」(栄養補助食品ではない)があります。
    栄養機能食品とは、体に必要な栄養成分のうち、安全に摂取できる量や有効性がよく把握されているビタミン12種類(ビタミンA、ビタミンB1、B2、B6、B12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、葉酸、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン)とミネラル5種(カルシウム、亜鉛、銅、マグネシウム、鉄)の17種について、栄養成分の機能と含有量を表示することが認められた食品です。個別の審査は受けていませんが、表示に従って摂取することで、必要な栄養成分を適宜摂取することができます。しかし、栄養機能食品もすべて医薬品的な形状をしているわけではなく、明らかに食品の形状のものもあります。
    このように、形状はとくに限定せず、「健康に役立つ機能性食品」という意味で考えれば、「特定保健用食品(トクホ)」も国が認めた製品であり、国の定めに従って機能や安全性に関するさまざまな情報が表示されています。
    トクホは、「コレステロールが高めの方に適する」「体脂肪がつきにくい」など、特定の保健用途に利用される食品です。申請に基づき、国が製品ごとに有効性と安全性を審査して、そのうえで期待できる機能などの表示が認められ、許可マークが表示されています(図参照)。医薬品とは違い病気の治療などには使用できませんが、一定の保健効果があり、主に生活習慣病予備群や健康に不安のある人が利用の対象です。
    これらの「栄養機能食品」と「特定保健用食品(トクホ)」でも、利用目的・方法、摂取量に十分配慮しなければその効果を期待できません。表示されている情報を確認し、きちんと評価したうえで、必要と思われるのであれば賢く上手に利用しましょう。

とったほうがよいサプリメントとは?

現在、妊娠中です。母親教室で、赤ちゃんのためにも葉酸のサプリメントをとるように言われました。人によって、とるべきサプリメントってあるのでしょうか?

きちんとした食生活では、基本的にサプリメントは不要ですが、実は必要な方もいます。たとえば、妊婦。妊娠中に葉酸が欠乏すると、胎児に神経管閉鎖障害という重篤な外表奇形がおこる可能性があるためです。予防対策として、00年末、厚生省(当時)は、妊娠可能な年齢の女性に対して、妊娠1カ月以上前から妊娠3カ月くらいまでは「食品に加えて、いわゆる栄養補助食品から1日0.4㎎(400㎍)の葉酸を摂取するように」という通知を出しています。葉酸は、ビタミンB群の1つで、ほうれん草の葉から分離されたビタミンですが、食事だけではとることが難しいため、サプリメントがすすめられます。
また、抗生物質のように、亜鉛と結合してキレート(錯体)という吸収されにくい物質をつくり、亜鉛不足をおこす薬が多くあります。亜鉛が不足すると味覚障害や成長障害、免疫力低下を引き起こすほか、傷口や褥瘡(じょくそう)が治りにくくなるといったこともおこります。食事をおいしいと感じることによって、消化液や唾液(だえき)などの分泌が促進されるので、亜鉛が不足しないように心がけなければなりませんし、寝たきりの方においては、床ずれを防止するために亜鉛を積極的にとる必要があります。
コレステロールが高くて薬をのんでいる方も注意が必要です。高脂血症の治療薬(スタチン)は、体内でコレステロールの合成を妨げると同時に、コエンザイムQ10の体内での合成量を減少させることが知られています。スタチンによる副作用である横紋筋融解症(おうもんきんゆうかいしょう)は、このコエンザイムQ10の減少が関与しているともいわれていますので、欧米諸国では、スタチンの服用時にはサプリメントとしてコエンザイムQ10の併用がすすめられています。
このように、人によって不足するためにとったほうがよいサプリメント、反対に、充足しているためにとってはいけないサプリメントがあります。必要性があるかないかを、しっかりと把握することが大切です。

とってはいけないサプリメントとは?

体の調子がいまひとつなので、友人に勧められたサプリメントをいろいろ飲んでいます。とりすぎると問題がおこったり、とる必要がないサプリメントってあるのでしょうか?

ふだん、食べ物や飲み物からも十分摂取できている特定の成分をサプリメントとしても摂取すると、知らない間に過剰摂取になるケースがあります。
たとえば、ヨウ素。ヨードともいわれ、世界的には不足しやすい栄養素ですが、海に囲まれた日本では土壌にヨウ素を含み、昆布やわかめ、ひじきなどの海藻類を食べることが多く、ヨウ素不足の心配はありません。また、意識的に海藻をとらなくても市販のだし類やめんつゆ類、カップめん、外食のうどんなどの昆布エキスを含む食品やヨード卵など、知らないうちに摂取しています。
ヨウ素は、基礎代謝にかかわる甲状腺ホルモンの原料であり、その機能を正常に維持するために欠かせないミネラルですが、過剰摂取は甲状腺機能の低下を引き起こすことが知られています。そうなると、倦怠感や浮腫等が生じ、場合によっては高脂血症を引き起こしてしまうこともあります。とくに気をつけたいのは妊娠中の女性で、昆布に多量に含まれるヨウ素をとり過ぎると、新生児が胎内で甲状腺に障害を受ける可能性があるので、妊婦は昆布そのものやインスタント昆布だし等を毎食続けて使わない工夫をしましょう。
そして、ビタミンA。目の乾燥感や夜盲症に使われ、皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素ですが、一般に日本の健康成人では必要量を摂取しています。脂溶性ビタミンのため体から排泄されにくく、過剰にとると、吐き気・頭痛などがおきやすいといわれています。また、妊娠前3カ月から妊娠3カ月までの間にビタミンAを過剰摂取した妊婦から生まれた子どもに、先天異常の割合が上昇したとの報告もあります。
サプリメントも食品も、もちろん医薬品も口から摂取する物質という意味では同じであり、体によいからといってたくさんとればとるほど効果が上がるわけではありません。とくに身近にあるものに含まれている成分については、特定の成分を過剰に摂取しないように気をつけましょう。

メタボ対策にはサプリメント?

メタボリックシンドロームが心配になってきました。薬ではなくサプリメントを使ってメタボを解消したいと思っていますが、どんなサプリメントをとればいいのですか?

今年4月よりスタートした特定健診・特定保健指導では、メタボリックシンドロームの該当者および予備群が厳しく抽出され、保健指導が行われることになります。
メタボリックシンドロームの要因となる内臓脂肪を減らすには、運動と食事の生活習慣を改善することが大切です。厚生労働省が打ち出しているスローガンにもあるとおり「1に運動、2に食事、しっかり禁煙、最後にクスリ」が基本であり、メタボリックシンドロームをサプリメントでなんとかしようと考えることは大きな間違いですサプリメントは、食品として健康の維持に対して一定の働きがありますが、医薬品のように病気や体の不調を治すものではなく、有害なものさえあります。
たとえば、米国で人気の燃焼系ダイエットサプリメントに「エフェドラ」がありました。エフェドラは「マオウ」と呼ばれる生薬(ハーブ)で、鎮咳、解熱、発汗剤などに使用されています。体重減少、エネルギー消費の増加、ボディービルなどを目的に販売されてきましたが、心臓発作、脳卒中などの有害事象が発生し、死亡例も報告されたため、04年に販売禁止になりました。
このような危険なサプリメントを使用しなくても、内臓脂肪は皮下脂肪と違って落ちやすいので、ふだんの食事できちんと正しい量を意識する癖をつけ、従来の日本食をうまく活かし、脂の多い食事を控えるなど、生活習慣改善の努力をすることで、メタボリックシンドロームは解消できます。ただし、食事の総カロリーを減らすと、カルシウムや鉄などのミネラル、ビタミンCが足りなくなることが考えられます。また、糖からエネルギーを得るために必須なビタミンB1、脂肪をエネルギーとして利用する際に必要なビタミンB2、植物性食品からは得られないビタミンB12などの水溶性ビタミンも不足させてはいけません。これらをサプリメントで補う場合は、国が定めた規格基準に合っている「栄養機能食品」で補うようにしましょう。

サプリメントは本当に必要?

野菜のビタミンが昔に比べて少なくなっていると聞きます。きちんと食事をしていますが、サプリメントもとったほうがいいですか? いっそのこと野菜の代わりに手軽なサプリメントにしようかと考えています。

  • 野菜のビタミンは、過去と現在の日本食品標準成分表の比較を根拠に少なくなっている、と評価している場合が多いのですが、実は測定方法が変わりました。最初に公表された1950年は手作業の滴定法でしたが、現在は機械化が進み、高速液体クロマトグラフィーで行われ分析精度が向上しています。そもそも、分析法の異なる結果を比較すること自体が間違いであり、その比較結果を理由にサプリメントをとる必要はありません。
    また、野菜を食べず、サプリメントをとるだけでは、野菜に含まれる微量で未知の成分などを補給することはできません。食品には「栄養面での働き」「嗜好面での働き」「健康を維持する生理的な働き」の3つの働きがあり、単に栄養をとるだけでなく、味や香りを楽しみ、食べることを楽しむことも、健全な食生活のために必要なことなのです。
    基本はきちんとしたバランスのよい食事です。「食事バランスガイド」(図)を参考にすれば、1日に「何を」「どれだけ」食べたらよいかの食事の基本を身につけることができます。以上のような健全な食生活を心がけたうえでも、栄養成分などの補給が必要な場合は、サプリメントを利用しましょう。もともとサプリメントとは「補足、補完」を意味する言葉で、食生活における補助的なものです。
    ただし、安全性に関しては、食経験を参考にできない場合があり注意が必要です。たとえば、ジャガイモは芽を除いて食べるなど、食べ方も含めた安全性は、多くの人が長い間食べてきた経験(食経験)により確認されています。しかし、サプリメントには、原材料になじみのない動植物などが使用されていることがあります。また、錠剤やカプセルなどに加工する際に濃縮や抽出されることで、食材の性質が変化し、もとの食材の食経験を参考にできない場合もあります。安全性については一般の食品よりも慎重に考え、たとえば、野菜不足には錠剤やカプセルなどに加工されたものではなく、なるべく食品に近い、野菜ジュースや青汁などを上手に利用しましよう。